走る駅鉄各駅停車
番外編
東京近郊SLの旅
千葉県
千葉県北西部 亀有駅 ~ 新鎌ヶ谷駅
千葉市中央部周辺 蘇我駅 ~ 習志野駅
その五 千葉県北西部 亀有駅 ~ 新鎌ヶ谷駅
千葉県北西部には一日で廻れる範囲に5機ものSLが展示されています。まずはJR常磐線の亀有駅に向かいます。人気アニメ「こち亀」の舞台となったところで、北口駅前には主人公、両津勘吉の銅像も建っています。亀有警察署亀有駅北口交番の前で写真を撮るアニメファンが跡を絶たないようです。そういえば、地方都市のとんでもない過疎地にまでアニメキャラクターのパネルがあって、「聖地巡礼」と称してアニメファンが訪れているところを目撃したことが何度かあります。
南口を出て曳舟川親水公園通りを1km程南下して右折すると「上千葉砂原公園」がありD51-502号が展示されています。
1.上千葉砂原公園 D51-502号 保存状態 ★★★☆☆
お隣の都立農産高校と同じくらいの敷地ですから大規模公園ではありませんが、園内には自転車やカートを借りて交通ルールを学べる「交通公園」や、リスザルやヤギ、ミニブタのいる「ふれあい動物広場」があり、モルモットとふれあったり、ポニーに乗ることもできます。ちなみに公園名に「上千葉」とありますが、ここは東京都葛飾区です。
D51は公園の北側駐輪場の脇に展示されています。昭和16年(1941)に製造され、関西や東北地方で活躍した後、昭和47年(1972)に大宮工場からここに来ました。屋根付きですが少々傷みが見て取れます。
亀有駅に戻り、常磐線で北小金駅に行きます。
小金地域一帯は平安時代から律令政府の官牧(野馬の放牧場)だった所で、江戸時代中期で5千頭を超える野馬が放牧されていたそうです。また、小金宿は旧水戸街道の主要な宿場町として本陣、問屋場(といやば)、旅籠、商家が立ち並び、東漸寺、一月寺、八坂神社など有名な寺社や、日蓮宗の本山の一つである「本土寺」の参道入り口もあって、多くの人々が往来する活気のある宿場でした。
南南東に1.5kmほど行くと「ユーカリ交通公園」があってD51-405号を展示しています。
・亀有駅- 16分-北小金駅
(常磐線)
2.ユーカリ交通公園 D51-405号 保存状態 ★★★★☆
この公園も自転車やゴーカートに乗って交通ルールが学べるようになっています。信号機、交通標識などが設置され、園内の一角が自動車教習場のようです。SLの西側には救難ヘリコプターS-62が展示されていました。救急車、消防車が一緒に展示されている公園はいくつかありますが、ヘリコプターは珍しい。(都内では消防博物館、警察博物館、自衛隊広報センターで展示しています。)
D51は、令和3年(2021)に再塗装されてキレイな状態です。旋回窓の雪国仕様です。除雪板は前方に置いてありました。SLファンの方々のHPには、「特殊な形の切取式除煙板や集煙装置が珍しい。」とでていました。
ここから北小金駅に戻っても良いのですが、新松戸駅までもほとんど同じような距離なので、西に2.3km約30分歩いて武蔵野線新松戸駅から1駅乗って南流山駅に行き、つくばエキスプレスに乗り換えて、また1駅乗って流山セントラルパーク駅で降ります。
高架下の改札を出たら東側に130m進むと「流山市総合運動公園」がありD51-14号を展示していますが、公園は広いので園内を500m程北に歩いて漸くSLに会えます。
・新松戸駅- 2分- 南流山駅- 2分 -流山セントラルパーク駅
(武蔵野線) (つくばEX)
3.流山市総合運動公園 D51-14号 保存状態 ★★★★★
駅名になっている「流山セントラルパーク」とはここのことです。広大な敷地内に体育館・野球場・テニスコート、アスレチックコース、SL広場、日本庭園、ピクニック広場などがあります。
SLは令和2年(2020)クラウドファンディングにより修繕され、美しい姿をしています。この日はちょうど「D51 14・キハ31保存会」の方々による修繕が行われている最中でした。
ここのD51-14号機は、番号の通りD51形の14番目として製造が開始されました。しかし同時期に別の工場で製造されていた1号機の完成が遅れたため、最初に完成したD51形はこの14号機となりました。因ってSLファンには実質上の「D51形トップナンバー機」として知られています。東海道本線や北海道などで活躍しました。
お隣に展示されている「キハ31」は昭和8年(1933)に製造された気動車で、流山線を走りました。昭和24年(1949)路線が電化され、客車に改造されましたが、戦前に製造されたガソリン気動車は現存数が少ないため大変貴重な車両です。
流鉄流山線は、「流山軽便鉄道(けいべんてつどう)」として開業したのが大正5年(1916)。千葉県の馬橋駅から流山駅までを結ぶ全長5.7km、駅数6駅(起点終点駅含む)、所要時間11分の短い路線です。ちなみに、流山駅は『東京近郊にありながらローカル色のある駅』という理由で「関東の駅百選」に選定されています。
流山セントラルパーク駅まで戻り、1駅乗って流山おおたかの森駅で東武野田線に乗り換えて柏駅に向かいます。西口を出て西口本通りを500m行って右折すると「柏西口第一公園」があってD51-453号が展示されています。
・流山セントラルパーク駅 -2分-流山おおたかの森駅-6分-柏駅
(つくばEX) (東武野田線)
4.西口第一公園 D51-453号 保存状態 ★★★☆☆
町中にある公園としては良い環境です。園内には市民プールもあり、夏は多くの市民が利用するそうです。SLは、昭和15年(1940)製造、東北地区や九州で活躍し、昭和49年(1974)に引退しました。
頑丈そうな柵で囲まれていますが、南側はプラットホーム状になっていて駅名標もあります。信号機や踏切もあって臨場感はありますが、フェンスが頑丈すぎて少々興ざめです。
柏駅に戻って、東武野田線で新鎌ヶ谷駅に行きます。京成松戸線、北総線(京成成田空港線)、東武野田線の乗換駅です。東口に出て北総線の線路沿いの道を東に800m行くと左手に「市制記念公園」の入り口があり、D51-385号が展示されているのが見えます。
・柏駅- 15分-新鎌ヶ谷駅
(東武野田線)
5.市制記念公園 D51-385号 保存状態 ★★☆☆☆
鎌ヶ谷が市になったことを記念して、昭和46年(1971)に開園した公園です。野球場、テニスコートなどもあります。管理事務所脇の展望台からは公園内を一望でき、眼下にSLを見ることができます。このアングルから見ることは珍しいです。また、すぐ隣に北総線の高架があるので、走り抜ける成田スカイライナーを目の前に見ることができます。
門を入ってすぐに目に入るのは、海上自衛隊の黄色い練習機(SNJ航空機6209号)です。公園から北東約350mのところにある「海上自衛隊下総航空基地」は、旧大日本帝国陸軍が本土防衛のために急造した「藤ヶ谷陸軍飛行場」でした。SLは昭和48年(1973)に、飛行機と同時期にここに来ました。
閉園を知らせる「夕焼け小焼け♫」を聞きながら帰路につきました。
・新鎌ヶ谷駅- 16分- 京成高砂駅-22分- JR日暮里駅
(北総線) (京成本線) 2026.1.31
その六 千葉市中心部周辺 蘇我駅 ~ 習志野駅
千葉市中央部周辺にも一日で廻れる範囲に、SLが展示されているところが6カ所もあります。まずはJR外房線、内房線、京葉線の3路線が乗り入れている蘇我駅に向かいます。JR蘇我駅は明治29年(1896)房総鉄道(現・外房線)の駅として開業しました。ここで内房線と外房線が分岐します。また、サッカーチーム、ジェフ市原のホームスタジアムである「千葉市蘇我球技場」が駅の西700mにあるため、試合開催日は多くの乗降客でごった返します。
1.菰池公園 NUS6号 保存状態 ★★★☆☆
東口に出て350m程行くと「菰池(こもいけ)公園」があり、NUS6号という工場などの専用路線で使われた小型のSLが展示されています。戦後になって川崎重工兵庫工場で造られ、昭和28年(1953)から昭和43年(1968)まで川崎製鉄千葉工場で働いていました。同じような生い立ちのSLがご近所に数機展示されているので、これから会いに行きましょう。
・蘇我駅- 2分-千葉駅
(JR外房線)
2.千葉公園 NUS5号 保存状態 ★★★☆☆
蘇我駅に戻ってJR内房線で千葉駅に行って、北口から1km程北に歩くと千葉公園があってNUS5号が展示されています。しかし!園内工事中で柵が張り巡らされていて近づくことができない・・残念。千葉公園は陸軍鉄道連隊の演習線があった所で、公園内には演習用のトンネルなどの戦跡ががいくつか残っています。しっかり散策したかったのですが、工事中のところが何カ所かあるので次回来たときに探検することにして、遠くからSLの写真を撮ってから千葉駅に戻りました。モノレール千葉公園駅に行って1駅乗ってもよかったのですが、天気が良いので歩きました。
・ 京成千葉駅-7分-京成稲毛駅
(京成千葉線)
3.稲岸公園 NUS7号 保存状態 ★★★☆☆
京成千葉駅から京成千葉線で京成稲毛駅まで行き、西に1km程歩いてNUS7号が展示されている稲岸公園を目指します。千葉街道を横切ると、広い原っぱの先に小さなSLが見えてきます。
子供達が大勢ワラワラと群がっていて何とも良い雰囲気です。SLはどこでも子供達に大人気です!。写真を撮ってから来た道を引き返し、途中の「稲毛浅間神社」には遠くからお参りして、京成稲毛駅に戻り3駅先の幕張本郷駅に向かいます。
・京成稲毛駅- 7分-幕張本郷駅
(京成千葉線)
4.袖ケ浦東小学校 NUS2号 保存状態 ★★☆☆☆
幕張本郷駅から西南西に1km程行くと幕張インターチェンジがあり、さらに京葉道路沿いに700m程歩くと袖ケ浦東小学校があって校庭の片隅にNUS2号が置いてあります。屋根もあって大切にされているようですが、傷みが目立ってきています。
大正13年(1924)ドイツのオーレンシュタイン・ウント・コッペル社で製造され、茨城鉄道3号機として活躍しました。昭和19年(1944)熊本県の鹿本鉄道に行き、4年後にまた茨城にもどり、昭和26年(1951)から、千葉の川崎製鉄~蘇我駅間の資材運搬に使用されました。昭和53年(1978)、袖ケ浦東小学校入学。(本来ならば学校側に撮影許可を得るべきでしたが、日曜日でもあり、またグラウンドでは少年野球の練習を行っていたからか、一般人が裏門から大勢出入りしていたので、私も紛れて入ってしまいました。ごめんなさい。)
・幕張本郷駅- 3分-JR津田沼駅
(JR総武線)
5.津田沼一丁目公園 K2-134号 保存状態 ★★★☆☆
幕張本郷駅に戻ってJR総武線に1駅乗って津田沼駅で下車、線路沿いの道を300m程東に行くと津田沼一丁目公園があって、ここには陸軍鉄道連隊K2-134号という珍しいSLが展示されています。
現在の京成松戸線の津田沼駅から、くぬぎ山駅あたりまでは、かつて陸軍の演習線路でした。陸軍鐵道第二連隊が鉄道敷設訓練のために造った路線です。戦場での線路敷設を想定して、あえて急カーブを連続させた複雑な路線形をしています。
京成松戸線は、ほぼ同じルートを引き継いで使用しているため、京成津田沼駅から北に向かう路線は不自然にクネクネと曲がっているのです。輸送路としては実用的ではありませんが、訓練のために造ったと聞けば納得がいきます。
このK2-134号も先ほど見てきたNUSと同様、川崎車輌兵庫工場で製造されたものです。K2形は、主にソ連-満州国境の配備を目的として計46両が、鉄道連隊向けとして製造されました。昭和18年(1943)製のこの車輌は大陸には行かず、鉄道連隊の訓練で使用された後、戦後は西武鉄道安比奈(あいな)線(1963年休止、2017年廃線)で使用されていました。運用終了後は埼玉県所沢市の遊園地ユネスコ村で展示され、平成2年(1990)にユネスコ村が閉園した後、平成6年(1994)に習志野市に寄贈されてここに戻ってきました。日本国内に現存する唯一のK2形蒸気機関車です。
・新津田沼駅- 6分-習志野駅
(京成松戸線)
6.薬円台公園 D51-125号 保存状態 ★★★☆☆
津田沼一丁目公園の横の新津田沼駅から京成松戸線で習志野駅に向かいます。習志野駅は習志野市内には無く、船橋市にあります。東京の品川駅が品川区に無く、港区にあるようなものです。習志野駅から南東に1km程行くと薬円台公園があって「船橋市郷土資料館」の脇にD51-125号が展示されています。今日は今まで小さなSLばかり見てきたのでD51の大きさに圧倒されます。
ちょうど午後4時になったので運転台の見学は終了となりましたが、子供達が群れていないところを写真に撮ってから郷土資料館を見学して、駅に戻って1駅乗って北習志野駅から京葉高速線で帰ってきました。
今日は、蘇我駅に着いたのが12:00ですから、ちょうど4時間で6機もの蒸気機関車を見学することができました。 2026.2.15
