走る駅鉄各駅停車
わたらせ渓谷鉄道 後編
花輪駅~桐生駅
前編で間藤駅~花輪駅までをご紹介致しました。その続きです。
旧銅街道を2km程走ってから122号と合流した。この辺りは道路がメロディーラインになっているので、すれ違うクルマから先ほどの童謡「ウサギとカメ」が聞こえてくる。「メロディーライン」は、道路に溝を作り、その上を一定の速度で走ると、タイヤとの摩擦音でメロディーが聞こえてくる仕組みになっている道路だ。楽しい気分にさせられる。
町中に入って少し行くと左手に「水沼駅」がある。
上り線ホーム上に温泉があります。
10.水沼駅 みずぬま
相対式ホーム2面2線、無人駅。上下線ホームは跨線橋で連絡する。北側の下りホームに待合室、駅前広場に多機能トイレがあり、駐車場も広い。しかし何と言ってもこの駅の特徴は構内に「駅の天然温泉 水沼の湯」が併設されていることだ。
平成元年(1989)に駅構内に温泉施設「せせらぎの湯」がオープン。平成9年(1997)には「関東唯一の緑に囲まれた天然温泉付きの駅」として「関東の駅百選」に選ばれた。経営問題等で休館した期間もあったが、令和7年(2025)「駅の天然温泉 水沼の湯」と名前を変えて営業が再開された。
跨線橋を渡って桐生方面上り線のホーム上に温泉の入り口がある。都心から日帰りで行ける大露天風呂は観光客に大人気だ。館内には温泉施設のほか、釜飯、すき焼きなどが味わえるレストランや、お土産品の売店もある。私も入浴したかったが、ここで温泉に入ってしまうと完走できなくなるので、次回来たときに入ることにして先を急いだ。
駅入り口
温泉のある登り線ホームに向かう跨線橋。
桐生方面
足尾方面
待合室
駅名標
再び122号を進む。3kmほど走ったところに歩道橋があって、その手前に「本宿駅入口」の看板があった。「まさかこんな所に駅があるのか?」と思われる立地条件だ。本宿という駅名だから宿場町の中に駅があると思っていたので少々驚いた。
ガードレール脇の駐輪場に自転車を駐めて、急な階段を下るとホームらしきものが見えてきた。崖下の川沿いに駅があった。ずっと渓谷沿いの道を走っていたが、川辺には下りていなかったので、ここに来て渡良瀬渓谷を身近に感じられた。
11.本宿駅 もとじゅく
単式ホーム1面1線。平成元年(1989)開業の請願駅。ホームから渡良瀬渓谷の景色を間近に見ることができる。これも渓谷鉄道の魅力の一つだ。
狭いガードレール脇に看板がありました。
この階段を下っていきます。
ホームが見えてきました。その先は渓谷です。
足尾方面。駅名標。
桐生方面
階段を上って122号に戻ります。
銅街道122号を1.5km程行くと右手に「上神梅駅」がある。対岸にある「貴船神社」は、市のHPによると「初詣には群馬県内でも一、二を争う人出が。」とある有名な神社だ。平安時代の天暦十年(956)に京都の貴船神社の分霊を祀ったのが縁起で、現在地に建立されたのは江戸時代の寛文8年(1668)。渡良瀬川の清流を見下ろす断壁の上に建っている。参拝したかったが、桐生まではまだ先が長いので、ここも次回に行くことにした。
12.上神梅駅 かみかんばい
単式ホーム1面1線。大正元年(1912)開業の古い駅だ。外観も趣がある。開業時から使用されている木造駅舎とプラットホームは登録有形文化財に登録されている。
駅鉄にとっては垂涎の駅舎だ。立地条件も完璧。木製の改札口、待合室の雰囲気、入り口の看板、濡れ縁・・。どれも素晴らしい。
ちょうど誰も居なかったので、しばしタイムスリップに酔いしれることができた。
駅舎全景
駅舎入り口
外の待合所
趣のある手書きの看板
古いのに清潔感のある待合室
待合室側から見た改札口
ホーム側から見た改札。傾がった感じが良い!
桐生方面
足尾方面
ホームから見た駅舎。
駅名標
美しい駅です。夢の中に居るようだ。
わたらせ渓谷鉄道の本社、車両基地のある次の「大間々(おおまま)駅」までは5.5 km程ある。大間々町は、足尾銅山に通じる「あかがね街道」の宿場町として江戸期より栄え、商店街には歴史ある酒蔵や醤油蔵がある。ちなみに「まま」とは河岸段丘によって作られた厓のことで、千葉県市川市の江戸川沿いにも「真間」という地名がある。崖の古い呼び名には「ハケ」「ばけ」もある。武蔵野地域では丘陵や段丘の片岸の急な斜面や崖のことを「ハケ」と言い、(国分寺崖線など)秩父には天然記念物に指定され「日本の地質百選」にも選ばれた「ようばけ」という大露頭がある。
122号をひた走って、大間々3丁目交差点を左折すると大間々駅北側の踏切があり、静態保存された車両などを観ることができる。気動車好きの私にとっては至福の時だが、まずは駅に向かう。
北側踏切から見た大間々車両基地
13.大間々駅 おおまま
相対式2面2線のホームと、トロッコ列車専用の頭端式ホーム1線を有する。上下線ホームは跨線橋とスロープで連絡する。トロッコ列車専用0番線ホームへは待合室北側の通路を通る。駅舎及びプラットホームが登録有形文化財として登録されている。車両基地、保線施設などもあるので複線が多数あり夜間の留置運用も行われる。指令所があるため、社員が終日配置されている。
わたらせ渓谷鉄道の本拠地の駅だけあって大きくて立派な駅だ。駅前広場も広く、通勤、通学などで利用する大勢の利用客にも対応できる。一日の平均乗降人数は500人程だ。朝、夕は高校生のほか、大間々中学校に通う上神梅地区の中学生も利用している。
駅舎全景
待合室
待合室側から見た改札口
相対式2面ホーム。下り列車が来ました。
駅名標
ここから0番線に行きます。
桐生方面
足尾方面
大間々駅構内には過去に使用された車両も保存されている。0番線ホームに隣接した駅前の駐車場には、足尾線の第三セクター鉄道転換時に導入されたレールバス(わ89-300形302)と、わ89-100形101号車が連結した状態で保存されている。1990年、1993年に導入され今年引退した、わ89-310形は駅舎から少し離れた車庫に保存されていた。
気動車は自立走行できる点が魅力だ。電線に頼らず、線路が続いているところなら、どこまでも走って行ける。そして、走行、運賃会計、トイレ、冷暖房などの各種機能が1台で完結している。
「トロッコわたらせ渓谷号」に使用される客車(わ99形)を牽引するディーゼル機関車(DE10形)は近くで見ると圧巻だ。 (線路敷地内には入っていません。)
わ89-310形
DE10形1537
わ89-300形302
わ89-100形101 レールバス
東通りを南下して122号との交差点を左折、2.5kmほど進んで線路を越えたら右斜めに行くと「運動公園駅」がある。
14.運動公園駅 うんどうこうえん
単式ホーム1面1線。駅名となっている「桐生市運動公園」の西側にはJR両毛線の「桐生球場前駅」がある。300m徒歩4分で乗り換えが出来る。桐生市運動公園は、野球場・テニスコート・プール・サッカー場など各種スポーツ施設のある総合運動施設だ。
乗換駅らしくありませんが、駅全景です。
正面出入り口
ホーム北側にスロープがあります。
駅名標
桐生方面
足尾方面
市民プール方面に進み、上毛線の線路を越えたら左折、わたらせ渓谷鉄道の線路を越えて愛宕神社を過ぎたら右折して500m程行くと「相老駅」がある。
15.相老駅 あいおい
東武鉄道桐生線(太田駅~赤城駅)との共同使用駅で、改札口を2社で共用しているが、わたらせ渓谷鐵道の社員が終日駅業務を行っている。東武線出入口には簡易改札機(PASMO)を備えるが、わたらせ渓谷鐵道線は全てのICカードが利用できない。駅の東側に駅舎、駅前ロータリー、多機能トイレ、1番線ホームがある。わたらせ渓谷鉄道側は、相対式ホーム2面2線(1.2番線)、東武鉄道は島式ホーム1面2線(3.4番線)。各ホームは跨線橋により連絡しているほか、改札外(鉄道の跨線橋の南隣)に線路の東西を連絡する歩道橋がある。わたらせ渓谷鉄道が、他社の路線と直接乗り換え出来るのは、始発駅の桐生駅とここ相老駅だけである。乗降客も多い。
駅入り口
駅前ロータリーもあります。
2社の券売機があります。
待合室
待合室側から見た改札口
ホーム側から見た改札口。
1番線から見た足尾方面
1番線から見た桐生方面
左側の長いホームは東武鉄道桐生線
跨線橋から見た駅舎
ここで東武鉄道と連絡しています。
駅名標
2番線から見た足尾方面
2番線から見た桐生方面
東武鉄道のホームに特急列車が来ました。
多機能トイレ
北東に進んで122号に出て、右折して800m程行くと線路をくぐるガードがあり、その脇に「下新田駅」がある。
16.下新田駅 しもしんでん
単式ホーム1面1線だが、南側にJR両毛線の線路が4線ある。桐生駅から併走してきて、ここでわたらせ渓谷鉄道は単線となって西に向かう。平成4年(1992)に下新田信号場内にホームを設置して開業した新しい駅。駅舎もトイレもない簡単な作りの駅だ。
駅全景
入口階段
桐生方面
足尾方面
122号を進んで、桐生伊勢崎線68号との交差点を左折、相生大橋を渡って新川橋通りを左折すれば「桐生駅」だ。 気温36℃。50km以上走った。暑かった~。
17.桐生駅 きりゅう
島式ホーム2面4線、JR両毛線との接続駅、共同使用駅。桐生駅北口から300メートルほど北に上毛電気鉄道上毛線の「西桐生駅」がある。また、桐生駅南口の2.5キロメートル南に東武桐生線の「新桐生駅」があり、路線バスによって連絡している。
桐生市は「西の西陣、東の桐生」と謳われた織物で栄えた街だ。市内には往時の繁栄ぶりを彷彿させる歴史的建造物が数多く残っていて散策が楽しい。桐生駅と西桐生駅の東側が桐生市の中心商業地になっている。(市内の様子は別記しています。ご参照下さい。)
わたらせ渓谷鉄道が使用する1番線ホーム
2番線はJR両毛線が使用
気動車と電車の段差です。
JR両毛線の駅名標
WKT-520形が戻ってきました。
間藤駅に向けて出発します。
わたらせ渓谷鉄道は素晴らしい路線だ。是非とも多くの方に来て頂きたい。
2025.8.17
