走る駅鉄各駅停車
番外編
東京近郊SLの旅 埼玉
高崎線に沿って 西川口駅 ~ 深谷駅
「東京都内SLの旅」の続編です。今回は中山道に沿って走っているJR高崎線周辺のSLに会いに行きます。
その四 JR高崎線に沿って 西川口駅 ~ 深谷駅
東京都心部から埼玉県高崎市までは新幹線も走っていますが、この旧中山道沿いは主要な宿場町が点在し、それぞれ独自の発展を遂げていて興味深い路線です。鉄道関係で言えば、大宮は「鉄道の街」と言われるほど鉄道と深い関係があります。大宮と鉄道の関係を挙げると、枚挙に暇がありませんので、端折った要約を後ほどを記します。
まずは、JR東北本線、京浜東北線、宇都宮線、高崎線、上野東京ライン、湘南新宿ラインが束になって走っている西川口駅に行きます。
西川口駅西口を出て、線路沿いに北西に800m、10分程歩くと「大荒田交通公園」があってC11-304号が展示されています。
1.大荒田交通公園 C11-304号 保存状態 ★★★★★
広い公園ではありませんが、公園内に交差点や踏切、道路標識などの交通施設があって、無料で児童・幼児用自転車の貸出しも行っています。SLは白いフェンスに囲まれていて隔絶感を感じましたが、この日はたまたまフェンスの一部が外されていました。
ピンク色の丸い看板は蕨市の鉄道イベント「わらてつまつり」のプレートです。
駅に少し戻ったところにある跨線橋を越えて、線路の北東側に行きます。丁張稲荷通りを900m行くと「青木町公園」があって9687号が展示されています。
2.青木町公園 9687号 保存状態 ★★★★★
わりと大きな総合運動公園です。SLは野球場と総合運動場の間の駐車場脇の、立派な車庫の中に大切に保存されていました。昭和40~45年、川越線を走っていました。開門日時は月に2回、毎月第2、4日曜日の10時~15時45分だけだそうです。
時代感を醸し出した造りの車庫です。薄暗さがリアルさを増します。
西川口駅に戻って、いよいよ大宮駅に向かいます。大宮駅はとにかく大きな駅です。宇都宮線、東北本線、埼京線、高崎線、京浜東北線、川越線、東武野田線、埼玉新都市交通等の13路線が入り、東北新幹線、上越新幹線、山形新幹線、秋田新幹線、北陸新幹線、北海道新幹線の6路線が、地上3階にある島式ホーム3面6線を使っています。川越線・埼京線は、地下1階にある島式2面4線の地下ホームにあります。なんとホームの番線数は1~22番ホームまであります。乗り入れ路線数は東京駅に次いで全国2位、1日平均利用者数は約66万人で当然、埼玉県下最多です。ちなみに東京都杉並区の人口が約57万人、足立区が約69万人ですから、一日に区民全員が利用するほどの乗降者数なのです。
大宮は言うまでもなく「武蔵国一之宮 氷川神社」の門前町として発展してきました。また中山道大宮宿としても発展してきましたが、明治維新以後は街道の役割が低下し、大宮宿の戸数は243戸まで落ち込みました。明治16年(1883)に日本鉄道の第一期線(上野駅~熊谷駅)が開業しましたが、浦和駅と上尾駅の間に大宮駅は設置されませんでした。そこで町の衰退を阻止するために駅の誘致を積極的に進め、明治17年(1884)高崎までの全線が開通した翌年の明治18年(1885)に東北本線との分岐点となるところに大宮駅が誕生しました。以後、「鉄道の街」として発展していきます。
現在では北関東最大のターミナル駅で、北海道、東北、北関東、上信越、北信越等の各駅から首都へ向かう際の玄関口的存在です。また、鉄道のみならず道路交通網の拠点ともなっているので、商業も発展し首都圏有数の繁華街を有しています。
(走る駅鉄各駅停車、JR川越線・埼京線 より転載)
・西川口駅- 18分- 大宮駅
(JR京浜東北線)
3.山丸公園 C12-29号 保存状態 ★★★☆☆
まずは東口に出て、東に250m行った交差点を右折して500m程行くと左手に「山丸公園」があってC12-29号が展示されています。山陰、北海道などで活躍した後、昭和34年(1959)から大宮工場の入換機として使用され、昭和45年(1970)廃車となって大宮市役所前に展示されました。現在は大宮区役所隣の「山丸公園」に静態保存されています。和光市の小学校に居るC12-85号「わこポッポ」は、大宮工場の入換機として活躍したC12の仲間です。
大宮駅まで戻って、今度は西口を出ます。右手に線路沿いを500m程行くと「大宮車両センター」の道路側の敷地にD51-187号が展示されています。
4.大宮車両センター D51-187号 保存状態 ★★★★★
JR東日本最大の車両センターは、130年にわたり鉄道車両のメンテンナンスや新造・改造を行っています。「旧国鉄大宮工場」開設当初は蒸気機関車や電気機関車などの製造も行っていましたが、現在は電車の修繕が主な仕事です。しかし、JR東日本管内のSLの修繕は大宮総合車両センターが担当しているそうです。受注できない部品は、社員が一から製作することも多いそうです。
毎年11月第4土曜日に開催される一般公開イベント「鉄道のまち大宮 鉄道ふれあいフェア」では工場内の見学もでき、鉄道を身近に感じることができます。10月ごろに情報解禁となります。要チェック。
D51-187号は、昭和13年(1938)に大宮工場において製作されたSLの第1号機関車です。構成部品の全てを独自に製作したという「日本鉄道技術の粋」です。昭和46年 (1971) 、「準鉄道記念物」に指定されました。
大宮駅から鉄道博物館までの大宮総合車両センター沿いの道は、「レールウェイガーデンプロムナード」呼ばれ、写真パネルなどが展示されています。(ガードレールには新幹線が居ます。)プロムナードの中程には電気機関車「EF15168号機」と「EF58 154号機」のカットボディが展示されています。
5.鉄道博物館 保存状態 すべて★★★★★
車両センターのSLから1km北上すると高架下に「鉄道博物館」があります。平成19年(2007)に開館した、名称の通り鉄道に関する博物館です。鉄道ファンなら知らない人はいません。
歴史は古く、大正十年(1921)に「鉄道開通50周年」を記念して東京駅の神田駅寄り高架下に開設されましたが、関東大震災で焼失。施設の再建設が計画され、昭和11年(1936)に旧万世橋駅舎跡の敷地を利用した新館が造られました。当初は鉄道省の直営でしたが、戦後は日本交通公社、交通文化振興財団、東日本旅客鉄道(JR東日本)と運営主体が次々と変わり、昭和23年(1948)に名称が「交通博物館」となりました。その後、多くの来場者で賑わっていましたが2000年代に入り建物の老朽化も進んできたため、平成18年(2006)5月14日限りで閉館し、70年にわたる万世橋での歴史に幕を閉じました。その翌年に現在の鉄道博物館が大宮に開館しました。ここには6機のSLがが展示されています。
・1号機関車(150形蒸気機関車)
新橋~横浜間の鉄道開業時に英国から輸入された蒸気機関車です。明治4年(1871)製造で、 国指定重要文化財、鉄道記念物に指定されています。
・9850形蒸気機関車
急勾配区間で使用するためにドイツから輸入しました。公式側は内部構造が分かるように各部を切開して展示しています。非公式側のロングノーズが圧巻。
・善光号機関車(1290形蒸気機関車)
日本初の私設鉄道「日本鉄道会社」が、英国より輸入した明治14年(1881)マニング・ワードル社製の機関車です。川口の善光寺近くで陸揚げ、整備されたので善光号となりました。こちらも鉄道記念物に指定されています。
・C51形蒸気機関車
国産初の本格的な高速旅客用蒸気機関車で、特急「燕」「富士」など当時の花形列車を牽引しました。安定した性能から御召列車の牽引機に採用されました。
・C57形蒸気機関車
旅客列車牽引用として活躍しました。力強い印象のD51に比べ、細身で美しいプロポーションから“貴婦人”と呼ばれました。
・弁慶号機関車(7100形蒸気機関車)
北海道最初の鉄道「官営幌内鉄道」が明治13年(1880)米国から輸入した機関車です。ダイヤモンドスタック煙突のアメリカン・スタイルです。鉄道記念物に指定されています。
鉄道博物館を出て大宮駅に戻ります。ゴムタイヤで走る新交通システム、埼玉新都市交通伊奈線ニューシャトルに一駅だけ乗るのも一興です。JR高崎線で鴻巣駅まで行き、東口に出て、けやき通りを真っ直ぐ1.4km行くと、鴻巣市文化センター隣の「せせらぎ公園」にC11-322号が展示されています。
・大宮駅- 20分-鴻巣駅
(JR高崎線)
6.せせらぎ公園 C11-322号 保存状態 ★★★★☆
水遊びのできる整備された公園です。ここのSLも大宮の山丸公園で見たC12-29号と同様に、大宮工場の入換機として活躍しました。露天展示ですがキレイな状態です。
隣接する「鴻巣市文化センター」には「歴史民俗資料コーナー」があって130cmもある大きな埴輪が4体も展示されています。ここから350mほど南に行ったところに東日本最大級の埴輪製作窯跡「生(おい)出(ね)塚(づか)埴輪窯跡」があり、数々の出土品のうち70点もが国の重要文化財に指定されています。これだけ素晴らしいお宝がたくさんあるのだから、ぜひとも独立した「埴輪博物館」を建ててもらいたいと思いました。
鴻巣駅に戻って熊谷駅に向かいます。
・鴻巣駅- 15分- 熊谷駅
(JR高崎線)
大きな駅です。地上ホームは、高崎線、湘南新宿ライン、上野東京ライン、秩父鉄道が利用し、高架ホームは上越新幹線、北陸新幹線が使用しています。かつては東武鉄道熊谷線(妻沼線)が秩父鉄道のホームを利用していましたが、昭和58年(1983)に廃線となり、線路跡は「カメの道」という遊歩道になっています。また、熊谷貨物ターミナル駅から秩父鉄道貨物専用線の三ヶ尻線がセメント工場に延びていましたが、令和2年(2020)三ヶ尻線が区間廃線してレールが撤去されました。
この駅で秩父鉄道の動態保存車両C58形363号蒸気機関車「パレオエキス」に会うことができました。(写真は令和6年撮影です。)
『SLパレオエキスプレス C58-363は、かつて東北地方などの旧国鉄で活躍した蒸気機関車です。1972年に現役引退後は、吹上町立吹上小学校の校庭に置かれていましたが、さいたま博覧会(1988)にあわせて「SLの運行を!」との声があがり、その大役にC58-363が抜擢されました。1987年に車籍を復活、1988年に秩父路のSLパレオエクスプレスとして蘇りました。』 (秩父鉄道のHPから引用、要約)
