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            真岡鐵道真岡線                                  

                                 

 前編 茂木駅 ~ 西田井駅 

 

17駅  41.9km

 

                 真岡鐵道真岡線   前編          茂木駅~西田井駅

 

 栃木県の南東部に位置する真岡(もおか)市は、室町時代には宇都宮氏の家臣芳賀(はが)氏がこの地方を治めていたが、江戸時代に天領となり幕府の代官所が置かれた。稲作の田園地帯でもあるが、現在はイチゴの栽培も盛んで、生産量日本一を誇っている。江戸中期より特産品として有名だった真岡木綿は、最盛期には37万反を産したが明治以降は生産量が激減し、近年は足利の繊維産業従事者の支援を受けて技術伝承に努めている。 (真岡鐵道の愛称はコットン・ウェイです。)

 明治45年(1912)下館駅~真岡駅間が「真岡軽便線」として開業し、大正9年(1920)に茂木(もてぎ)駅まで開通。大正11年(1922)に「真岡線」に改称し、昭和62年(1987)国鉄民営化でJR東日本に継承され、翌年、真岡鐵道株式会社が運営する第三セクター鉄道会社の路線となった。栃木県と沿線自治体などが出資している鉄道路線だ。

 運行形態は、ワンマン運転の普通列車が毎時1本程度運行される。通常は1両での運行だが、平日の通勤通学時間帯には2両に増結される場合がある。ICカード圏外のため、普通列車は車内で運賃収受する。また、平成6年(1994)より土日祝日を中心に蒸気機関車牽引の「SLもおか」が1往復運行されている。

 使用車両はモオカ14形気動車9両。一般から募集した案を基に決定されたデザインは、緑の市松模様、下部は橙色と、派手だが田園地帯では映える。

 蒸気機関車のC12形は昭和8年(1933)日立製作所製で、鹿児島機関庫、釜石機関区、弘前機関区、上諏訪機関区、会津若松機関区などに転属され,昭和47年(1972)福島県で静態保存されていたものを、観光用の蒸気機関車を探していた真岡鐵道が、平成3年(1991)から真岡駅で静態保存。平成6年(1994)より営業運転を開始している。

 DE10形ディーゼル機関車は、SLの回送を兼ねた下館駅~真岡駅間の客車列車も牽引する。

 

  前日のうちに下館まで来てビジネスホテルに一泊。翌朝6時に起きて下館7:31発、茂木行きに乗車した。一両編成のモオカ14形気動車は魅力的な唸り声を上げて動き出した。すると、少し行ったところでスピードを緩めて停止した。何かと思ったら後方のホーム上を走ってくる乗客がいたのだ。ドアが開いて若い男性が一人、息を切らせて乗り込んできた。動き出した列車を停めて一人の乗客のためにドアを開けるなんて事は都市部の駅では有り得ないことだ。

 突然、若い頃の記憶が蘇った。南アルプスに登山に行った帰路、身延線の駅に戻ってきたときに、列車が近づいてくるのが見えて畑の一本道を慌てて走って行くと、それに気がついた車掌さんが発車を遅らせて私たちを待っていてくれたことがあった。その時の嬉しかった記憶がはっきりと蘇った。

 折本駅、西田井駅、市塙駅で3回上下線交換を行って、1時間8分程で茂木駅に着いた。10数人ほどいた乗客は七井駅から先は私だけになっていた。田園地帯の素晴らしい景色と気動車の独特な雰囲気を満喫できて大満足のひと時だった。

茂木駅に到着しました。

1.茂木駅   もてぎ

 真岡線の終点であり、栃木県の最東端の駅。単式ホーム1面1線。構内に蒸気機関車用の転車台が設置されている。夜間滞泊も設定されている。自動車レース場「モビリティリゾートもてぎ」の最寄り駅で、大規模レース開催時にはシャトルバスが運行される。

 かつて、茂木~長倉宿(現・常陸大宮市)間が「国鉄長倉線」として計画され、昭和12年(1937)に着工。全線の用地買収も完了し昭和15年(1940)にはレールの敷設工事も開始されていた。しかし、太平洋戦争勃発による建設区間見直しで工事は中断、レールも金属回収により撤去され、戦後も再開されず開業することはなかった。現在、茂木駅終端部より東に未成線の路盤が延びているのを確認でき、探索イベントも開催されている。

 新しくキレイな駅だ。駅舎内の階段を上がると2階は展望デッキになっていてSLの転車作業を上から見ることが出来るようになっている。そして何と「駅そば」まであった。駅前ロータリーにはタクシーが常駐していて、運転手さんが蕎麦屋さんと話をしていた。良い雰囲気だ。

 車止めのある線路端の先には整地された土地が東に向かって伸びていて、常陸大宮まで自転車で行ってみたくなった。

駅舎全景。立派です。

ホーム側から見た改札口

待合室側から見た改札口

駅舎の2階。

展望デッキ

展望デッキから見た下館方面

右のサークルがSLの転車台です。

駅そば店の入り口

この先が終端部。車止めがあります。

終端部まで行きました。

終端部から東の線路跡を見ています。

 折りたたみ自転車を組み立てて9時に出発。線路北側の道を1.5kmほど西に進むと「道の駅もてぎ」がある。クルマがたくさん停まっていた。さらに茂木バイパス123号を2km程行くと線路の南側に「天矢場駅」がある。駅に行くには手前の踏切を越えなければならないので少し戻った。

 

2.天矢場駅   てんやば

 ホーム上に屋根付きのベンチがあるだけの簡素な駅だが、立派なロータリーがあり駅前広場には公衆トイレもある。ホームに上がる階段には車椅子幅のスロープがあるが、この急角度では乗ったままの使用は難しい。

駅全景。左端に自転車置き場

駅名標

下館方面

茂木方面

広い駅前ロータリー

キレイなトイレです。

 123号を1km程走ると左手の田んぼの中に「笹原田駅」が見えてくる。

 

3.笹原田駅   ささはらだ

 駅周辺に住宅は無く、一日の平均乗車人員は一桁で真岡鐵道の駅では最も乗車人員が少ないが、何とも素敵な駅だ。千葉の小湊鐵道を巡ったときに「上総川間駅」を見つけたときと同じような感動があった。

 都会の喧噪に疲れたらこの駅に来て半時ほど何も考えずにボ~っと田園風景を眺めていたら心が癒やされると思う。そんな癒やしの駅だ。

田んぼの中にポツンと駅がありました。

駅全景。素敵です。

駅名標

下館方面

茂木方面

 123号をひたすら3km進むと右手にコンビニがあるので左折して。1.5kmほど行って左折すると「市塙駅」がある。

 

4.市塙駅   いちはな

 相対式ホーム2面2線。「SLもおか」停車駅だが六角形の変わった形をした駅舎内にはベンチがあるだけで改札窓口はない。こういったデザインの建物を造る真岡鐵道のセンスに感心させられる。

表記がひらがなってところも良いです。

駅名標

待合室側から見た改札口

ホーム側から見た改札。

下館方面

茂木方面

 線路沿いに進んでから右折して小貝川を渡る。川沿いはサイクリングロードの看板が出ているが走りにくそうだったので、大回りしてから再び線路沿いの道に出て南下すると「多々良駅」がある。4km程だ。

 途中の道沿いに駐車スペースのある展望台のような建築物があったので、何かと思ってよく見ると「SL展望台」の表記があった。地域ぐるみでSLを応援しているようだ。

 道路脇に「SL展望台」がありました。

 

5.多田羅駅   たたら

 滑り台やブランコなどがある駅前広場があり、親子連れが遊んでいた。上下線交換駅では無いけれど、駅に着いて2~3分したら上り列車がやってきて、また2~3分したら今度は下り列車がやってきた。両隣駅の市塙駅、七井駅は2駅とも2面2線で上下線のすれ違いができる駅だ。

美しい駅舎です。

借景。絵画のような田園風景です。

ホームから見た駅舎

茂木方面。駅名標

下館方面

上り列車がやって来ました。

走り往く列車に手を振る親子。ほのぼのします。

 駅前から南下する多田羅街道153号を3.5km程行くと「七井駅」がある。

 

6.七井駅   なない

 大正2年(1913)開業時は終着駅だった。大正9年(1920)茂木まで延伸され中間駅となる。相対式ホーム2面2線。平成12年(2000)年に建てられたガラス張り、2階建ての美しい駅舎がある。

斬新なデザインの駅舎

明るく、広い待合室

待合室側から見た改札ドア

茂木方面

下館方面 下り線ホーム(茂木方面行き)の駅名標

下り線ホームから見た上り線側にある改札

駅の西側は田園地帯です。

 線路沿いに走る121号を3km程南下して、突き当たりの益子交差点を右折して800m程行くと「益子駅」のツインタワーが見えてくる。

 

7.益子駅   ましこ

 単式ホーム1面1線。かつては2線あったが西側の線路が撤去されたので、ホームから線路を見ると、列車はクニャッと曲がって入線してくるように見える。駅の下館寄りに東西を結ぶ跨線橋がある。有人駅だが早朝、夜間、日中の一部時間帯は無人となる。駅舎は『焼き物の街に配慮した瓦屋根の駅舎にツインタワーをシンボルとした斬新な駅』との理由で関東の駅100選に選定されている。待合室の2階は多目的室になっている。隣接する「益子町観光協会」には売店もあり、タクシーが常駐する駅前より宇都宮市方面への路線バスも運行されている。

 益子町は陶芸が盛んで多くの観光客が訪れる「陶芸の町」だ。昭和54年(1979)に通商産業省から伝統的工芸品に指定された「益子焼」は、肉厚で土鍋、壺、水瓶などに使われる日用品重視の焼き物だが、最近は現代的な作陶も見られる。

 「益子陶芸美術館」「益子焼窯元共販センター」「益子陶器市・かまぐれの丘」「陶芸メッセ益子」「益子陶器市テント村」などが集まっているエリアまで徒歩15分程度だ。

 ホームに入れてもらうため入場券を買おうとしたら、「入場料はいりません。もうすぐ!あと5分ほどでSLが来ますよ。」と駅員さんが教えてくれた。胸高鳴らせてSLを待っていると、どこからともなくカメラを持った人が何人か集まってきた。

関東の駅100選に選ばれた駅舎

待合室側から見た改札口、益子焼の大きな水瓶

下館方面 クニャッ

茂木方面 クニャッ

ホーム側から見た改札口。

C12形はスリムでかっこいい ♡ピカピカに整備されています。

発車時の汽笛音、水蒸気が 凄い迫力です!

最後尾にはDE10 1535が連結されていました。

 西に進んで小貝川を渡り、塙交差点を左折して道なりに1.5kmほど進むと「北山駅」がある。

 

8.北山駅   きたやま

 駅舎のように見える立派なトイレがあるが、駅舎は無くホーム上に屋根付きのベンチがある。ホームに入るには南側の階段の他、踏切側にスロープがある。副駅名「いちごの駅」。

かわいらしい駅名標です。

なんとも素敵な雰囲気のベンチです。

立派な駅舎 ではなくドンと構えたトイレです。

下館方面。左手はスロープになっています。

下り列車がやって来ました。

茂木方面 走り往く気動車 

ホーム南側に広い駅前広場があります。

 294号を1.8km程走って真岡西田井郵便局の手前を左折すると「西田井駅」がある。

 

9.西田井駅  にしだい

 相対式2面2線、昭和っぽい駅舎がある、まさに駅鉄好みの駅だ。北側に広い駅前広場があり、南側には公園があって池がある。釣りをしている人がいた。線路沿いは桜並木になっているようなので、春には美しい写真が撮れそうだ。

板張りの裾壁に昭和を感じられる駅です。

駅入り口

ホーム側から見た入り口

下館方面。桜並木

茂木方面

下り線ホーム  良い感じです。

駅名標

 一旦294号に戻って西に進み踏切を越えたら東郷東交差点を右折して五行川を越える。大前(おおさき)神社の大きな鳥居と鎮守の森の紅葉を右手に見て水橋街道との荒町交差点を右折すると「北真岡駅」だ。駅の東側に見える万治元年(1658)創建の「大日堂」は、毎年8月の第一土曜日に県指定無形民俗文化財の獅子舞が奉納される。

 

真岡鐵道真岡線 前編はここで中締めです。 真岡鐵道真岡線 後編をお楽しみください。